松岡正剛氏が自ら語った本がありました。

http://q.hatena.ne.jp/1288140099

松岡正剛さんの本を読むと、あの人は手元にかなり詳細で自由に並べ替えられてすぐ引き出せるような歴史データベースを持っているように思うのですが、それを語ったような情報はネットや本でありますか?

1番さんが『情報の歴史』を紹介されておられます。まさにその原点について松岡正剛氏が『多読術』(ちくまプリマー新書)で語っていました。本書は筑摩書房の編集担当者がインタビュアーとなって松岡正剛氏から読書論や多読術について参考になる意見を引き出しています。それに読書家になっていった生い立ちや『遊』創刊の事情にも触れていて個人史としても興味深く読みました。左翼系の学生運動に参加していたこともあったようです。下記は同書の111ページからの抜粋です。

 これはノートを数冊用意して、まず一万年前から紀元前をへて、現代まで年号をふる。たしか五冊くらいのノートにしたと思います。ページの間隔は見当で、あけておきます。で、読んでいる本に年号が出てきたら、その事項をこのノートに片っ端から書きこんだ。途中からそれではめんどうなので、ひとまず読みながら欄外に年号を書き、一冊読みおわったらそれをまとめてクロニクル・ノートに写すというふうにしました。


 これって、最初はまことに遅々としたものなんだけれど、ときどき前に書きこんだページに新たな年号事項が加わって並んだりすると、なんだかとても嬉しいんですね。それでがんばった。もっとも、これも途中から気がつくんですが、同じ欄に政治も美術も事件も入れるのはつまらないので、しだいに何本かのトラックをつくるようになって、少しマッピングをおもしろくしました。この成果が、やがて電話百年を記念する出版物としてNTTから頼まれた『情報の歴史』になるわけです。

古代から現代まで年号を記述したノートを数冊用意しておいて、読んでいる本に年号が出てきたら、その事項を書きこんでいったようです。数多くの本を読んでいますと森羅万象の内容が書き込まれていくので、途中からはカテゴリー毎に区分して面白くしたと語っています。それらを集大成したものが『情報の歴史』として刊行に至った訳です。


多読術 ちくまプリマー新書