専門的知識を必要とする質問と事実に関する質問

本日「人力検索はてな」に次のような質問が立てられたとします。

有限会社を設立したいと思います。手続方法を教えてください。

答えは当然ながら会社法施行により有限会社の設立は出来ませんとなります。知っている者にとっては常識レベルですけど、質問者は知らないので訊いている訳です。既知の人間からすれば今更と思っていても何でもかんでも知っていることは有り得ないですから、よく知らなければこのような質問も上がってきます。

このような質問に対して、有限会社の設立に関するサイトを上げて回答するユーザーがいます。ネット情報では当該箇所が更新されないで有限会社の設立方法を説明したサイトが残っています。現時点では全く役に立たないサイトのURLを紹介するだけでなく、わざわざご丁寧にサイトから説明文を転載する御仁もいます。回答者は恥の上塗りをしているとは思っていないようです。

今度は、次のような質問が上がったとします。

$10(テンダラー)の浜本さんが焼鳥屋を経営していると聞きました。お店の名前や場所を教えてください。

焼き鳥Dining ハマーが正解となります。
http://www.hotpepper.jp/A_20100/strJ000651896.html

この質問は、お笑いコンビの$10(テンダラー)を全く知らなくても検索することで正解を導き出せます。検索することで回答しているのに、有限会社の設立に関する回答では誤回答となり、この回答は正解となる要因はどこにあるのでしょうか。それは専門的知識を必要とする質問と事実に関する質問を分けていないからです。前者は旧有限会社法も含む会社法に関して基本的な知識を必要とします。会社法を知らないで検索による結果から回答するので現在では設立不可でありながらトンチンカンな答えとなるのです。事実に関する質問は、その事を全く知らなくても検索で回答することが可能です。

人力検索はてな」は、後者の事実に関する質問に適したQ&Aサイトです。前者のように専門的知識を必要とする場合、広義のコンピュータに関する質問に対しては適切な回答を得られているようです。「はてな」にコンピュータの実務家が数多く参加しているからだと思っています。

実際に有限会社の設立を検索しますと会社法の施行により現在では設立できないというサイトが数多くヒットします。その時点で気付くでしょうけど例題に上げたような回答をしているケースもありました。

人力検索はてな」は検索の達人が質問に対して参考になるURLを探してきますが出発点でした。検索依存型の回答は事実に関する質問では有効です。ところが専門的な知識や実務経験が無ければ正解を得られない質問に対しても事実に関する質問と同じように検索に頼って回答するユーザーがいます。残念なことに多回答者にも散在しています。そのために明らかに間違った回答が「はてな」に集積される結果となっているのです。その間違いを見抜くには、質問者が回答者以上の知識を持っていなければなりません。広義の理工系(コンピュータを含みます)の質問に対しては、質問者が専門的知識を有していて間違った回答をきちんと裁断しているようです。ところが、法律・税務・社会保険などビジネス実務の方面では質問者さんもよく分かっていないことも多いので間違った回答を素直に受け入れていることもあります。